第4弾 ヨコオさん
ニッポンのジャケットデザインと言えばここ40年で一番有名なのは、SANTANAのライブアルバム「LOTUS」だろう。作品そのものが出て来た時にまず思ったのは「これは真似が出来る範囲じゃない」ってことだった。その時は学生だったので、ね。

22面ジャケットというのは3枚組ゲートホールド式スリーブ面が6面で、T型4面が2葉で全16面で計22面なですが、実はこれに同サイズのカラー4枚のメンバー紹介が入っているし、レーベルや解説も入っていて、総合的な絶対量が凄かった+グラフィックの密度が圧倒的で、当時の国内製ジャケットでは達していなかったレベルの作品だった。

この作品の行程について横尾さん本人から話を聞いた事があるが、「音楽やジャケット制作の細かなルールを知らないないから自由に作れた」と言ってますが、「デザイナーが思った様に作った方が良いに決まってる」という一方的な思い込み+技術的な自信+当時の体力+業界の無知(未体験だから正確には未知)などが純粋に絡み合っていたから出来た作品と思う。メーカーの人もほぼ同じ様な事を言ってた。

その後は、横尾作品を見ない日はなかった様な時期。82年頃「流行通信」のADは横尾さん(デザイン担当は湯村氏)で、後に編集部に聞いた話しだと、「今までで編集部に来る回数が多かったのは横尾さんですね。」

「横尾マガジン」のADとしてボクを起用してくれたのは嬉しかった。間近で横尾さんの技術力を見れて凄いと思った。記憶力も凄いし。このシリーズでは、横尾さんの多くの知り合いとの会合にも同席させてもらった。「ビートたけし」「三宅一生」「井上陽水」「細野晴臣」などなど。写真も撮らせてくれた。後、絵を描いているところも。横尾さんの写真集にも何度か登場させてもらった。

横尾さんが人間的に素晴らしいと思ったのは、有名人と無名人を区別しないところ。有名人を前にボクが失言しても、笑ってる。「ビートたけし」さんと会う直前にトイレに連れて行かれ、「ボクが彼に会うなりキスをするから、君はそれを撮るんだ。」で我ながら見事成功。こういう事を実に楽しんでいる。ボクも緊張よりも楽しめたし。