印刷とグラフィック・デザイナー

グラフィックデザイナーは基本的には「紙に印刷された感触が好き」と「目に見えるモノなら何でもOK」とでは随分違う。僕は以前は後者だったが、最近は前者。僕はカラー再現された写真と文字が同一次元になっている感覚が好きだ。別々に歩んで来た「写真」と「文字」がここで全く同じ平面で合体される。なので、この愛おしい状態に「相応しい見え方」が見た人の網膜から脳細胞に届き、それがポジティブなバイブレーションになって始めて「グラフィック・デザイン」になると考える。
なので、誠心誠意入念に作ったモノでも、はたまたいい加減な「ゆるい」のでも、届いたなら、良いのだ。大した「差」もないが、確かな「差」はある。本質的な「差」だ。
最近はネット印刷への入稿が多い。「早い、安い、簡単、キレイ」だから、普通の印刷所に頼むと「遅い、高い、難しい、だからキレイで当たり前」であれば、ネット印刷になるのは当然だろう。ただし、ネット印刷の流儀に合わせなくちゃならないので、シビアな到着日のモノや、ネット言語での確認が苦手な人は未だに使っていない。
2年程前迄は、「多少の品質は目をつむる、つまり若干印刷が甘い」が安い&早いで仕方なかったが、殆どの印刷物、例えばチラシみたいなモノは抵抗ないから需要が増えて、過当競争になって品質も向上して来た現状は、ポスター等の美術印刷でも問題がなくなった。
皆と同じ「チーチーパッパ」をやっているわけにはいかないと思う向上心のあるグラフィック・デザイナーが、これに満足出来る訳がない。蛍光色・特殊加工だとネット印刷じゃない様に見えるだろうから、と思って探すとこれも簡単に出来る。つまり、「職人に印刷原稿を手渡し」なんて既に消滅している、っと考えた方が前向きだ。合理的に考えるべきだし、事実20年前から印刷所には職人は少ない。昨日入ったバイトが操作可能な「色再現調整」している、のであるからして。