デザイナー加藤靖隆君が逝去

僕が14日の夜、知り合いからの電話で「加藤君が亡くなった、らしい。詳しい事はわからない。」と聞きました。

翌朝、どうしても気になって品川の加藤宅に行きました。

不在だったので、彼宛の手紙をいれた封筒を玄関戸に貼付けて其処を離れました。
30分後にもう一度行ってみました。やはり誰もいませんでした。

家に戻ると携帯電話がありました。加藤君の名前が表示された。それは妹さんでした。手紙を見て電話をくれました。
が、しかし、ここで始めて加藤君が亡くなった事を事実として聞いたわけです。それまでは「噂」でした。

翌日の夜、通夜に行きました。棺に横たわっている加藤君を見ました。
血の気のなくなった白い顔に化粧をした顔でした。僕のよく知っている彼でした。

でも、叫びたい様な心境に鳴り、身体の中心のやや下辺りが凄く重く、今迄感じ得なかった感覚があり、それが凄く怖かった。
それでも、悪い冗談だと思ってました。いや、冗談だと思いたかった。

葬儀の段取りというのは、丁寧ではあっても基本的に事務的に行います。凄く早く終わった様に感じたなあ。

通夜には若い人達も来てました。告別式には遺族に許可を得て友人を呼びました。

彼は小さな星屑になって宇宙に散って行きました。

僕らはいつしか また会うでしょう。その日まで。


回想その1

彼と始めて会った日は今でもハッキリ覚えています。1975年の4月です。

ムサ美の2年生になった僕は新入生を迎えるコンパのために食堂ホールにいました。同じD組の新人をここで迎えます。ホールにギターを持って歌って入って来た男が加藤君でした。歌はビートルズの「She Loves You」でした。調子良さそうに歌っていました。

1年後輩で2才差、でした。僕は当時、同級生4人でグループを結成していて彼らと活動していました。渋谷で展覧会を開催したり、吉祥寺に事務所を作って広告の仕事をやったりしてました。彼らと離れた時に会うのが加藤君でした。

自宅が近かったので、家に帰ると、僕の部屋でビールを飲んでいたりしてました。勝手にレコードもかけていました。
僕の持っているレコードや彼のを持って来て、大体音楽の話しをしてました。
そして「レコードジャケットのデザイナーになるのが夢。」というのが共通してました。