ロストワールド

調布映画祭で無声映画ロストワールド」を映写機と弁士で見た。サイレントだ。映像だけで、音はない。先輩は言う。「映画の面白さはサイレントにある。」というのは、他に楽しみの少なかった時代の話しだと思っていたので、終わってからはかなり考え方に変化あり。
この「ロストワールド」は1925年のSF映画で実写ドラマとパペットモーションアニメ(コマ撮り)を編集したもの。合成場面もある。コマ撮り撮影には6年を費やしたらしい。この辺の情報は上映前の弁士の説明だ。弁士はすぐに落語家さんとわかった。説明の後、すぐに上映開始。
弁士は若いのに上手。たまに文字(サイレントの説明は場面の間に挟まれる文字のみ=これがクラシックな風合いでキレイ)の誤訳があったが、気にならなかった。音楽はもう少し場面に合わせるか、編集した方が望ましい。ただ昔風の音楽ならば合うとは限らない、と忠告したい。
本編は63分のスタンダード版。こういう完成度の高い作品だと残るんだな、と思った次第。映画の黎明期には、それこそ沢山の実験的な事が多く行われていて、「映画=フィルム→どこまで出来るか?→モノクロだから出来る事→映像だけだからパントマイムに近い→内容がわかりやすい→わかかり安い内容を吟味」と感じながら見ていた。
物語は、探検家だった父親がメモを残し行方不明に〜変人と馬鹿にされた科学者を応援する若い記者〜探検家の娘を連れて再び探検に。閉ざされたエリアで沢山の古代生物に遭遇。火山の大爆発が起こる、やっとのことで逃れ、救助隊が現れ生き延びた恐竜をロンドンに連れて帰る。暴れてテムズ川に落ちて、恐竜は泳いで帰って行った。
コミカルな場面も多く63分はあっという間だった。ここには「インディージョーンズ」や「キングコング」のテーストが沢山散りばめられていたし、後のハリーハウゼン作品や円谷英二作品に受け継がれていくのであります。

この映画祭は始めてだったが、今年で25回目だという。調布は日活など映画産業では古い歴史がある。関わった映画の試写で日活には何度か行った。ボクが見た無声映画は小ホールの上映でマニアックな人が多かったが、他の会場は最近のハリウッド映画やアニメ等なので賑わっていた。全作品が無料というのも凄い。来年はもっと沢山みたいな。