純度一直線

現役スーパースター、スポーツ選手が劇映画で本人役で主役で出演、というのが2本あってたまたま見てた。
1本は「ミスタージャイアンツ〜勝利の旗」長嶋茂雄が現役時代、しかもV9時代だ。巨人軍の長嶋茂雄で演技している。実際の試合を組み合わせて半分ドキュメントになっている映画だ。チームメイトも登場して演技しているので、現実と虚構の境目が見ているういにわからなくなっている。最後は優勝でパーティーの場面に東宝俳優や歌手が出て来て祝うといった凝った作りだ。広報役のフランキー堺と長嶋のやり取りなんかは、長嶋さん「棒読み」なんだけど、実際の選手だから演技以上に見えて来る。
もう1本は西鉄稲尾和久投手の「鉄腕投手 稲尾物語」(1959年作品)だ。お父さん役は志村喬。これも東宝作品だ。この作品は「勝利の旗」より前の時代の九州の場面なので何か時代劇を見ている様な雰囲気が漂う。
今じゃ考えられないくらいのスターのインパクトがあったんだろうなあ。
ガキの頃、巨人が練習をやっている多摩川グランドに行くと長嶋も王もいた。二人とも逞しくてニコニコしてて優しかった印象がある。それが日本シリーズパリーグの凄い選手に向かっていく時、ネクストバッターボックスに二人が並んで素振りをしている時の絵にもの凄く興奮した覚えがある。「男の中の凄い男が二人もいて二人とも絶好調」って図だ。数年前のイチローと松井に香川と亀田三兄弟を足しても、足らない。
時代が違うと言うのは簡単だけど、それ以上に何かが違う。そうだ「純度」だ。今の方が情報がある分だけ、純度が低い。当時の方が凄いかどうかは問題ではなく、純度からくる「影響力」は本物で、イチローも松井も香川もこれからだ、ということだ。