茂雄・裕次郎・忠則

Tadanori Yokooさんの特集された「別冊太陽」が送られて来た。Yokooさんと編集の及川さんと「超私的横尾忠則マガジン」を3人で作っていたのもあっという間に10年が経った(か?)。及川さんが送ってくれたのはこの特集本(といっても太陽と同じ大きな雑誌サイズ)の主要編集者だったからで、添えられていた手紙に「「超私的横尾忠則マガジン」があってこの本がある。」と書いてあった。中にはボクが関わった痕跡を見るのはクレジットにはないけど、「超私的横尾忠則マガジン」で横尾さんをビジュアル系に変身させた写真が2点掲載されていた。カメラマンのクレジットを見るとこれが凄い。
カメラマン=ジョン・レノン、クロード・ピカソ、小松陽祐、篠山紀信中平卓馬植田正治石元泰博森山大道、アラム・ディキチャン、荒木経惟 以上
って書いてある。「以上」というのがいいなあ。小松さんはピカソとキシンに挟まれていて居心地は悪くないのでは?小松さんには最近会ってないけど「あの写真はアンタが撮った様なモンだ。」とか言いそうだけど、実際にはボクは仕込みと逃げ出そうとした横尾さんを捕まえてスタジオに戻して最後は家迄送って別れ際に「今日はやってよかった。感謝してる。」って言われただけで、撮影のディレクションは全て小松さんだったから、「写真=小松さん」で良いのだ。
でも、カメラマン=撮った人とは限らない。敢えて言えば、これは昔の話。世界的に有名なカメラマンでも一切カメラをいじらない人もいる。ディレクションとは全ての「方向付けする人の意」「写真は視点」なのだ。難しいというより人や機械が関わって複雑になっている。良い写真には何らかの良いディレクションが関わっているのだ。それが撮影隊の誰でどの部分だったのかは、そのチームにしかわからない。だから揉めりゃ大変だ。知り合いは裁判にもなった。
普段横尾さんは写真のディレクションはしないからボクがこの「超私的横尾忠則マガジン」では、写真担当で撮ることも多かった。ネガごとあげるから家にはほとんど残っていないし、それでいいのだ。横尾さんにため口で「先輩後輩」をやっていた自分が怖い。もう40を過ぎたガキでしかなかったなあ。

これは編集後記の話をしていてカメラ担当のボクのカメラで及川さんに撮ってもらった記念の1枚。こういうふんぞり返った態度は良くないなあ、オレ。