今じゃ、な。

トルコのカッパドキアは大昔行った事がある。イスタンブールからアンカラに飛行機で行ってバスで行く結構な秘境だ。連なる奇岩は地形変動後に風化で出来た形で、固くないから中をくり抜いて家にしている人も居たり、治安も良いので観光客は多い。その頃にも日本人がリュック担いだ一人若者旅を良く見かけた。荒野で寝袋で寝るらしい。季節によっては危ないよなあ。
通訳の人に聞くと、イスラム教とキリスト教の争いが昔からあって、カッパドキアの奇岩の中にある教会のキリスト像の顔がほとんど消されているのもそのせいだと言っていた。安全と思われる場所でも非日常的な感覚になる瞬間の人間の怖さには油断出来ない。
今回衝撃された女子大生も何回も海外旅行に行って慣れてたというけど、それでも「素人」には違いない。友人で音楽専門のカメラマンは一般的には危ないと言われている様な国ばかり40年近く40カ国以上行っている。そういう人でも一瞬足りとも油断は出来ないと言っている。香港等で見かける女性数人の日本人旅行者の「うかつさ」には目を覆いたくなるよな。
ボクが最初に一人で行ったニューヨークでは怖い目にあった。
1_着いた初日。友人に会いに地下鉄に乗った。乗っちゃダメというAラインで行った。今思うと犯罪映画のシーンみたいでした。
2_真夜中のライブで寝てしまい。友人はボクを残して帰ってしまい一人で夜中に歩いて帰った。1時間程の間に鉄砲の音を数回聴いた。
3_ホテルに着くと、ボクの部屋に誰かがいるし、ベッドに大きな黒人が寝ているじゃないか!「部屋を間違えたぜ」だって。むむ。
4_翌日、そのベッドで寝ているとサイレンが引っ切り無しになっている。バンッ!凄い音が。水道管が破裂して部屋がビショビショ。
そのホテルはワシントン広場の真ん前の有名なホテル。有名と言っても高級ではなくトム・ウエイツの歌に出て来る味な安ホテルだ。でも、有名になって安いけど安全で感じの良いホテルとして僕らの仲間での中でも評判の良いホテルだったので予約しておいてくれた。(おきざり友人だからな)
「まあ、そんな事は毎日の様にあるわけだけど、それが海外旅行の醍醐味だ。」などと僕らの世代が言ったせいで(雑誌にも書いたせいで)、その後、後輩達が同じ様な旅に出かけ始める。中には有名な映画監督をカメラマンに仕立ててトム・ウエイツの家を突然押しかけるとか。今じゃ撃たれるな。