様々な葛藤あり(スペイン篇)

昨年のスペインの田舎の教会でフレスコ画修復で話題になった画家(82)が個展を開催。あの問題になった教会には訪れる人が凄く増え、グッズや著作権の話にもなってしまい、話題は別な方向に行ってしまった。当初突きつけられた課題は「絵が巧いのか?下手なのか?」だった。「堂々としたその人柄に惚れた。」になったが、日本ではこうはいかない。
「残念すぎる修復画」について簡単に言うと、欧州では「絵画の修復」というジャンルがある。あの画家は修復に関して、正式な(歴史の含めた)知識と技術はなかったと思う。修復の行程を説明していないからすぐにわかるし、描き込み不足の典型的な(画面で混ぜる)塗り方なので、水彩専門の僕でもすぐにわかる。古い絵画の修復は個人的な表現ではなく、オリジナルの再現(画材や描き方や重ね方など)を施す事が最も大事なことだからだ。キリストの汚れた肖像を何とかしたいという正義感と、ある程度の修復なら自分でも出来そうだという人から見たら安易ともとれる独創性が「閃いた」ので、とにかくやってみた、ということで、元々オリジナルの価値についても曖昧だったのだ。理解出来る流れだ。そういう人にOKを出したのだから、文句を言う方がオカシイ。しかも、描いてもらって笑うなんて、失礼極まりなし。その衝動が打算無き純粋故、ああいう結果を生んだんだな。
ニュースでは、彼女の個展の作品で唯一紹介したのが、書き直したキリスト像「エッセ・ホモ」だけだった。画家が前より裕福そうに見えたのも気になってしまった。
スペイン良いなあ。旅行したい国。アルハンブラ宮殿は今迄音楽だけの世界だったが、映像見たけど、ちゃんと歴史を勉強して行きたい。仕事で「スペイン行きたい!」という話でなかったもんなあ。