編集者も、だ。

友人の編集者がこう言った。「新しい仕事はお断りしているんです。」続けて「ほとんどの場合、支払いが遅いか、支払われない。支払われても2年後に半額とかなんですよ。一件や二件じゃなく、ほぼ毎回そうなんですよ。」10年程前の話だ。その時には、ボクはまだそういう目にはあってなかったんだけど、今じゃ、結構多いんだ。5年前に半年制作した月刊誌は未だ支払ってくれない。関わってアシスタントしてくれた人には支払っているので、逆に大きな損害だ。その雑誌の編集者は有能な仕事人でやる気満々な人ったけど、病気や家庭の事情でいろいろ大変なのは理解できつつも、別のデザイナーには支払っているのがわかってしまったので、大きな憤りを感じないわけにはいかない。
昨年、「借金取り立て人を代行してやる」と言ってくれた知り合いが、その編集者に電話したところ、業界的な知り合いだったので、「取り立ては出来なかった」だった。
また、別な音楽関係の編集者。以前ファッション雑誌制作の時からの付き合いだからもう結構長い知り合い。その彼が5年程前に病気になり、最近では仕事もままならぬ状態に。たまに電話がかかってきて「仕事を探している」と言うので、紹介したり、案を出したりしていたが、最近は会う事もなくなってきた。噂では「すでに話がよく理解出来ない」と聞いた。噂でこういう話が出るのは業界的には、もう終わりを示しちゃうなあ。
また別の元編集者。ボクと同い年の女性。今では、アーティスト。言いたかないけど自称か、友人だけど作品を見た事ないから仕方ない。彼女の態度はハッキリしていて「奢ってくれるならお茶に付き合っても良い」的な態度。連絡先も何者かも全く何も知らない。向こうから電話がかかってくるだけなのだ。
またまた別な編集者。漫画で見せる占星術の書籍の装丁の仕事をやった。これはボクの事務所に勤めた者は皆知っている件だけど、これは「編集者」という単語を見ると、同時に「変種者」と出て来る「奇怪な一件」として、我が事務所のワースト10に入る。
簡単に説明すると、デザイナーは当時夜中迄仕事している訳だ。その夜中にその「へんしゅしゃ」は来て仕事を見ていく。ここまではよくある話だ。その後、事務所内のキッチンでカレーを作る。ここまでも、「ない話」ではない。料理好きで世話好きな人なんだろうなあ。2-3回カレーは食べた記憶あり。ボクを含めて5人が食べた。問題は本が出来てからだ。「へんしゅしゃ」から電話があり、「本の出来に不満である」という話。ここまでも1000歩ゆずってあり得ない話ではない。この「へんしゅしゃ」程でないにしろ、変人は多いからな。でも、「へんしゅしゃ」は「ギャラは支払わないし、本も見せない。カレーを食べさせてやったのに頭来る!」と電話を切った。この時から、「編集者には気をつけろ」というワードが大きめに仕事引き受けノート(んなものはないが)には書いてある。
雑誌の編集者というのは、ある種の「変態」であると思う。「表現を伴った良種のマニア」という意味だけど、その専門分野が人より、抜きん出ていればいるほど、その専門知識は一般人の興味の対象になるわけなので、一歩間違えれば、の奴が結構居るんだな、という話だ。