岡本喜八の映画

江分利満氏の優雅な生活」は、岡本喜八監督作で山口瞳原作&小林桂樹主演という作品。先週始めて観た。岡本作品は、今まで数本しか観てなかった。理由は、映画通がこぞって賛美するので、妙な壁がドンドン高くなっていたからだ。安易に薦める人に嫌気がさしていたし、自分が観たいと思わないと観ない世代なのだ、と決めつけていた。
ケーブルチャンネルの「日本映画チャンネル」が観れる様になって、簡単に高画質録画が出来る様になり、しかも容量倍増で、何でもかんでもとりあえず録画も出来る様になって、週に10本ほど貯まっても、観ないで削除してたのも、「一応観てみておくチャンス」が訪れて、やっとちゃんと観る様になった。自分で高くしていた壁がようやく崩れて自分なりの「岡本喜八」を手に入れた、という我ながら厄介者である。
前置きが長かったけど、岡本作品はどれも面白い。簡単に表現すると「男映画」だな。思想も技術者としても興味が出てきた。監督が死んでからでは「遅かりし蔵之助」であった。今月は岡本作品が沢山見れるので、キャプ三昧だ。(マニア用録画のこと)
「江分利満」(Everyman=凡人)で出てくる登場人物が我が家に非常に重なる。事業を企てては失敗し、立ち直っては調子に乗ってまたダメになる身勝手な父親。被害者意識と妄想にかられる後継者は我が家の事じゃないのか?とか思いあたりつつも、我が家もこの映画以上の事が多々あったなあ。家族の歴史番組のNHK「ファミリー・ヒストリー」観てますが、あれも中々面白いけど、どの家もあれくらい凄い時代をくぐり抜けてきたんじゃあないのか、とかも思うわけです。今度自叙伝でも書いてみるか、などとは思わないけど、息子には何となくでも昔のことは話しておかなくちゃいけない。息子にとっての「自分の歴史」だ。
最近判明した我が家の歴史。「曾祖父は浅草生まれ〜職業軍人に〜関東大震災で墓が壊れ〜移動した墓も空襲で粉々に〜水死した祖父。江戸時代に産まれ父(俺のこと)が3才まで生きていた祖父母は品川の大地主で農地改革で大変な目に遭い、祖母一家が疎開中に行った先でまたまた災難が〜土地は失い〜」とかは一度話したけど興味なくて忘れちゃっただろうけど、ボクが有名になってNHKで特集されれば涙流して「オヤジも大変だったなあ〜」とか言ってくれそうだけど、今のところその予定は無い、という始末なので、映画同様「優雅な生活」と称しておこう、か。
「江分利満」に出てくる柳原良平のアニメーション。山口瞳さんと同じ会社の同僚。そのCM。

今、同じ様な業界にいていろいろ思うところが多いCMだなあ。欧州の風刺アニメの影響を受けているのがわかる。