竜宮城で貰った箱って何だっけ?

Brian Enoは、Roxy Musicデビュー(1972)から今迄かかさず聴いてきた音楽家だ。グラムロック発スーパースターとの競演でデビューから10年後には大家になっていた。その時に発表されたLPボックス「Working Backwards: 1983-1973」を数年ぶりに聴いた。
中には11枚が入っていて、1974年作2枚目のソロアルバム「Taking Tiger Mountain (By Strategy)」は初針。最後の溝がループになっているオリジナル盤と違い普通のレコードみたいにフェイドアウトして終わる。ちょっとビックリ。30年近く持っていながら知らなかったなんて。
でも本当は当時未発表だった2枚が入っていて、それが欲しくて買ったわけなのだ。1枚は「Music For Films Volume 2」もう1枚が「Rarities」である。買い損なったデビューシングル等を網羅した「Rarities」はまさにレアであった。おまけに「オブリックストラテジーズ」という不確実な示唆をするというカード作品の1枚が与えられてこのボックスは完結している。ボクに来たカードには「亡霊の声を聞け」と書いてあった。
Brian Enoの音楽は、80年代までは通常のCD(メーカー〜レコード店)で探せば良かったが、80年代後半からは形体もCD以外になっていく。ゲーム的なCD-ROM、映像が自動で変化するDVDもあるし、フロッピーなんかもある。売り方もネットになっていくが、中には美術館での販売が先攻というのもある。なので、追いかけるのは結構大変なんである。
ここ数年はiphone用のアプリが画期的。iphoneで音楽が作れるアプリ。自分で絵を描きながら演奏し設定取りにループ演奏してくれた音を楽しむ、というのがいかにもEnoらしさがあって楽しい。
つまり、音楽は「形体のないもの」を実証しているわけで、形にこだわりを持っている「レベル」ではなく、どんどん変えていって更により「何もない状態に近づいて行っている」のが素晴らしい。
ただし今迄の様に情報が一般的でないから、ウエブでの告知を見逃すともう終わり。最近は豪華版の作品集付きのCDセット販売が多い。もう飽きたのでそれらは買わない。たまに中古屋にでているのを見るので充分。
Brian Eno  Music For Films Volume 2(1983)

Brian Eno  Texture(1989)