名作は名ばかりではなかった

左幸子主演「にっぽん昆虫記」女のしたたかさ、しぶとさ、可愛らしさ、を凝縮した作品で、見る前は「今村昌平作品」「名作、左幸子の名演」で敷居が高かったが、意外に軽妙(時代別に見出しみたいな俳句が入る?ところが)洒脱で、メリハリの利いた「ど根性=馬鹿ぢから」さえ感じる。中に出てくる差別言葉も今では当時の生々しい現状を言い表している数少ない作品としての価値が出てきたし、クレジットでも主演と脇を一緒に混ぜて手描き文字で乱雑に表記。でも、左幸子の名前が瞬時に目立つのはこの役のパワーだ。1963年作。
吉永小百合キューポラのある街」これも見損なっていた。世界中の作品に目を通そうとすると意外に肝心な日本映画の名作を見過ごしているのがわかる。これもなんだか、左翼の説教っぽい感じや、時代考証を押し付けられそうな「怖さ」を感じてたが、これは見終わると外れていないけど、宣伝はある種の押しつけを迫ってするしかないのが同業者としては怖さを思い知らされる。浦山桐郎監督作品、今村昌平氏も脚本参加。1962年作品。ガッツのある中学生役の吉永小百合は絶対に代役がきかない感じがして圧倒的。北朝鮮に渡る在日の苦労もわかるし、当時の川口の町並みも見れて非常に楽しく見れた。
熊井啓監督作「日本列島」これは宇野重吉主演。「ルビーの指環 」で有名な寺尾聰のお父さん。大学の受験問題にも出た宇野サンの徹底した活動に「男」を感じるなあ。その宇野さんの味が、良い意味で映画をやや地味(画面に馴染ませて)にして真実味を持たせている。
最近テレビ(番組)はあまり見なくなったけど、つけると「渡辺謙」が出ている、感じがする。NHK連続を久しぶりに見た。シリーズドラマ「負けて勝つ」であの「馬鹿野郎発言」で有名な吉田茂首相役だ。こういう大仰な役は今やケンワタナベのはまり役。このドラマ、あのデイヴィッド・モースも出ている。日本のカメラに収まると東宝ゴジラ時代の外人みたいに大根に見えるから不思議だ。
大根といえば、「武士の家計簿」に出てくる仲間由紀恵さんはボクの中では典型的な「大根」。つまり「どこを切っても同じ」。でも、この方、名声の持ち主。つまり「良い特徴のある声=安心できるアルファ波的波動」で今の座を射止めた感じがする。大きなお世話ですが。