高倉さん


「不器用な男ですから」という肩書きで有名な高倉健さんが81歳で主演映画近日公開、でNHKで特番。この番組出演後亡くなった巨匠もいるので、何かと心配ですが、じっくり見ました。俳優に徹する姿には「凄い存在感」「寡黙で多くを語らず一途」「やる時はキッチリやる九州気質」と、世間で言う俳優の代名詞みたいにスラスラ出てくるけど、実際の高倉さんの人柄は神秘的なまでに非現実的。業界の関係者の知り合いから聞いていた様に、実は「話好き」で面白い人。でも、それも仕事で触れたような浅い関係の人の話。仕事関係とはベタベタするのは苦手で距離感を保っている、様だ。
今回のNHKはほぼ始めての様に「普段の高倉を撮ってくれて良い」という心境になったのは何故だろうか。話も「常に敗北感を背負っている」や、俳優になった時は、両親に「ここまで身を落としたか」と絶縁状態になり、結局親類の葬式には一度も出られなかった、という話も始めて聞いた。「それが皆に迷惑をかけられないプロの役者なんですよ。」喋る時よりも黙る横顔にしびれちゃうよなあ。
「京都生まれで大人しくて品が良ければ、やくざ映画は出来ないだろう?」とか「朝はシリアルにヨーグルトが好き」という、高倉さんが喋れば絵になる様なセリフがイッパイ。
高倉さんは「やくざ映画上映を一度映画館に見に行って驚いた。なんであんなに受けているのか?自分が出てきただけで大騒ぎなんですよ。」と言っていた。これはクリエーター側でなく、俳優ならでは人らしい話だ。
俳優とは如何に「からっぽ」から、役に成りきっていくか、とすれば60年それを主演だけでやってきた凄い人なんだなあ。石原裕次郎勝新太郎(高倉さんと同じ年)とは違う一般人の背景から出てきて常に大ヒット映画に出来るほぼ唯一の人だ。
近作も含めて70年代からほぼ全作(「やくざ映画」は年に10本なので別枠)を見ている俳優は三船敏郎と2人しかいないなあ。