Sugar Saltの4人との出会い

一昨年の某ライブで舞台美術を担当した。大きなステージなので美術を考えて欲しい。でも、予算なし。少し前までは、(7-8年前か?)そうは言っても100万位は覚悟して頼んできたと思うが、マネージャーに聴いても「実費程度」としか答えない。制作の時に先ず大事なのは、何を作るかなのだが、それさえハッキリしない状況だったので断るのが一番正しいのだが、ヘンに実績があると「何とか、は、なる」という無責任な楽観性が製作者にのし掛かる。
で、考えたのが、昔、世話したヤツにタダで借りよう、だった。で相談。渋谷の喫茶店で会った。ヤツと会ったのは2-3ヶ月前だが、その時は10年ぶりだった。その間に良い作品を作っていたのは知っていた。で、話はヤツの楽観性でドンドン進んだ。が、結局は美術(小道具)を運ぶのに15万程かかる、という。まあ、知らない人にタダで運べとは言えない。自分達で車借りて運んでも良いのだが、安全性や効率性からいって頼んだ方が早くて結果安いだろう。で、運ぶのは交渉して5万で了解してもらった。でも、それは「小さな家」なのだが、運ぶのはどうする?で、ボランティア集団の1人が、3人ほど調達できる。つまり知り合いで運んでくれる人がいるというのだ。当時の我々のスタッフは年齢的肉体的に欠陥だらけで、「運ぶ」ということで断念せざるを得ない局面に立った。(笑)で、当日来てくれたのが、Sugar Saltのメンバーだったというわけだ。
その時の感じの良さ、リハーサルも熱心に聴いているし。でも、その時には何も会話はなくて、再会する時にも覚えていなかった、普通の人は「馬鹿な?」と思うけど、そんな学生援護会的な現場でもモノ作りの現場なので集中している。実際時間も手間もかかるのだ。
長かったが、ここでやっと彼らと音楽の話になる。成城の仕事場に来てくれた。その前に打診のメールも律儀さを感じ好感を持ったし。肝心の音の方は再会の翌日にCDで聴いた、と思ったら、少し前にライブに誘われて下北沢に行ったのを思いだした。我ながら、こういう事を忘れるとは立派な作り手だと妙に感心した。
で、いきなり撮影した。長い付き合いのMY氏と渋谷の街を撮影。寒かったけど楽しかった。
ベースのryo君は滑舌がよくベースも好きなタイプの人。5弦ベース使用。「パーシー・ジョーンズって知ってるよね?」で答えてくれた久しぶりの人だった。
ドラムのTomo君は、ryo君のアニキ。ライブ見た時に何故か兄弟ってすぐにわかった。穏和な感じと頑固さがきっと実リーダー的な存在なんだろうなあ、と最近わかった。
ギターのヤマダ君は、ルックス的に一番印象に残るタイプ。昔ビジュアル系を聴いていたような感じがあって、曲を聴くと彼の繊細なギターが今後大きく重要になってくる感じがしている。
最後はこのバンドのフロントman。カワシマ君。歌っているは一度しか見たことがないのだけれど、会ってみた印象と違っていた。まだまだ完成したバンドという感じでないところが魅力でもありながら、若いからすぐに幼虫からサナギになって次は蝶という感じもする。彼がそういう感じにさせる一番の存在だろうなあ。すでに出来上がったような顔をしていないところが良い。
彼らが2/20に新作CDを発表。撮った写真はここに使われている。で、ここで止まらず。次に進んでいる。彼らと作品を作ってみたいと思い立ち、先ずはカワシマ君に相談。すぐにエスキース(デモ)を作ってくれたのが嬉しい。ヤマダ君は悩み中か?デモはまだ届かない。年内には何らかの形にしてみたいなあ。
考えてみれば、今までミュージシャンと組んで作品造りというのは結構やってみたように思うけど、最後は2002年のPOST以来。もう10年も経ってしまった。この10年は仕事とは別な苦手な闘いばかりだったのだなあ。今までは「音楽製作者との距離感」を維持するのが大変だったけど、今は距離感を感じている暇はない、という感じがする。