Girl Pop

1979年にリリースされたポストパンクバンドTeenage Jesus And The JerksのEP「Teenage Jesus And The Jerks」の図版を見ると、今になって思うことが多々ある。先ず、ピンクと墨(黒)の2色印刷のジャケットが美しい作品だと思った。30年後に咲いた小さな一輪って感じた。かき鳴らすだけのギターに叫ぶだけの女の声。それにこのジャケットだと単なるパンクバンドのEP盤だと思っていたし、興味が今一歩出ることもなく、買った理由はあの超名盤「No New York」に登場した4バンドの一つだったからで、James Chance、Arto Lindsay等と共有している何かを感じたかったから持っていた。それが、30年ぶりにジャケみてちょっとショック。これは完璧なアートの文脈からの発した何かがあった。それをはぐらかしていたのが、このキッチュさとメイクだった。印刷テクニックで言うと、考えられないくらいのいい加減なグラフィックデザインは、権威的な態度では見切れないだろう。結構良いよコレ。

音も結構良い。エフェクトなしのそのままエレキギター2本に太鼓!ドラムセットではなくタムタム一個か?曲も1分満たないのも多い。マイクも1本?よくある自宅録音みたいな音群。でもこれは全く違うな。身体で空中に描いた痕跡の残らない絵だ。数十年後に「どうやって音を作って、絵画の様な表現が出来たのかが絶対に解明できない」ことが我々にのし掛かってくるかも。警告という言葉は使いたくないが、こういう表現が警鐘的なある種のサイレンと感じる。