テレビドラマ

最近またテレビドラマを見るようになった。少しですが非常に面白い作品がありますねえ。それこそ、かつては「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」の久世光彦作品は自由で快活で。それに向田邦子脚本作品や山田太一作品「岸辺のアルバム」みたいな映画とは違うテレビ作品には面白さが詰まっていて大好きでした。
現在放送中の瑛太満島ひかり主演の「それでも、生きていく」は非常に重いテーマの社会派なのに、リズム感があって気持ちよく見てしまう。映像も最近では珍しいと言えるくらいに濃い。主人公の独白シーンが逆光の肖像画角で長回しが凄く美しい。ハイビジョンのクリアな絵を見すぎた目には暗くて何が何だかわからないのでは、と心配してしまうくらいだ。
配役も一見人気役者揃った凡庸な感じに思えたが、皆上手い人達で見とれてしまう。演出や動きにも妙な部分が少なくミニマルな作りになっている。見ていて、いろいろな美術を思い起こす事が多いので、資料しらべや吟味がされているように感じる。昔写真撮影でいろいろなシーンを想定してコンテを作っていた頃を思い出した位だ。テレビの人達もやっているのかと感心した。
ただ気になることが。感動的なシーンというのが、「泣く」ことだけじゃあないのに、とにかく「泣かせる場面」が多い。多すぎる。テレビ番組が完全なパターンになっているこの時代で真剣に番組を作っていれば視聴率なんか気にしなくて良いと思う。クライアントだって、そうした意識は理解するだろう。例え途中で終わったとしても悔いが残らないし、次に作る時に「さらに面白いモノを作ってくれ」って絶対になるよなあ。きっと。少なくとも僕はそういう番組を応援するね。