Giants Sugimoto

1983年当時のBreakfastは、僕の10才年上でのNDCの先輩でもあった杉本英介さんと石岡怜子さんの二人のADに、僕の大学の先輩の大沢さんというマネージャーがいて、デザイナーは僕と同年齢の2人と僕の計6人が常勤スタッフで、ADの仕事を3人のデザイナーが現場を支え、お金や連絡をマネージャーが仕切る体制だった。
その6人が入ってきた仕事をADが方向性を詰めた後、全員で一度打合せをする。が、これがかなりの時間を費やす。朝までかかることは常で新米の僕などは夜中に買い出しに行く。「とりあえずビール」「何本ッスか?」「そうだなとりあえず3ダース」「はい」。赤坂から夜中に開いている店は青山か四谷3丁目。タクシーで行って帰って来て1時間弱。打合せの時には渋い表情の杉本さんもビールを見ると笑顔になる。石岡さんは逆で飲むとしつこい。真面目だから仕方ない。いろんなタイプの集合体だから結論なんて最初からすぐにまとまらない。打合せは結局、結論は出ず。「こんなモンだよ。」的で終わる。ブレスト(ブレーンストーミング)は頭にあるモノを全て出し切る、でお互いに評論しあわない、が原則だが、打合せが終われば、場外乱闘は避けられない。
夜10時台に運良く終われば今度はデザイナー同士での会議みたいになっていく。行く場所は原宿だったかなあ。
杉本さん石岡さんは36才。今考えれば今どきの30代とは担っているモノが違うのだろう凄い存在感。雑誌の取材で是認で撮影に。いつも石岡さんは笑顔だったなあ。大きな笑顔。その理由を最近聞いた。
双頭ボスというのは、合致することは珍しく普段は大抵揉めに揉める。今考えれば、それが楽しかったのではないかと思う。
杉本さんは天才的な人で、タダのコピーライターじゃあない。ファッションショーを企画制作して賞を獲ったり、パッケージやグラフィック以外の制作も上手かった。人の才能を見極める能力があったと思う。世界的に活躍する数々のクリエーターを世に出した功績は大きい。この功績を何かの形に残したいと思っている。出来るのかなあ?