1961

先日「日本映画チャンネル」で「高峰秀子特集」で1961年作「名もなく貧しく美しく」という古典的名作の元祖作品を見た。テレビ版(主演は島かおり東野英心コンビ)は浪人時代に昼メロ時間帯に見たのだが、現在の「お涙頂戴ドラマ」(昭和的なネーミングだ)の元祖でもあって、映画版も同じタッチだろうと思っていたら、主演の高峰秀子の女優としての魅力満載作品だった。
演出は、原作の松山善三。共演は小林桂樹東宝作品なので加山雄三藤原釜足など沢山の名優が出演している。
映画を見ていくと、物語にも引き込まれるが、悪人を演じる人も上手いこと。草笛光子小池朝雄などは映画の中に入って殴ってやりたいほど腐った人間として描かれているが、それをまるで体験しているかの様に悪いヤツに皆なりきっている。
それにこの作品は視覚的な特徴も感じる。テーマが聾唖者だから手話が多い。冒頭でも手の会話のシルエットが出てくるが、美しいし、これだけ見ても物語全体に近い感動がある。