女優2人

中学生の時、銀座の東芝で(サイン会の行列に並んで)始めて女優を見て「こんなにキレイな人を見たことがない」というのを頭の中のタイプライターでひと文字ずつ打っていた。今、考えると、1960年代だからテレビはほぼモノクロで映画は独特な色合いだから「リアル」という言葉さえ「現実味」がなかった。元々美人がプロのメイクにかかった人は目の前に現れない。
それから10年ほどで映画や広告の撮影現場に入る様になり、VTRも登場し、女優や外人のスーパーモデルと仕事してあっという間に慣れてしまったけど、最初に見た記憶は消えない。しかも、70年代以降のリアリズムの嵐から、バブルという「グロテスク期」を経て、今に至っては「ゆるさの美」まで辿り着いた。最初に見た衝撃とは対極の見え方が主流になって、ボクの記憶は更に鮮明になった。
最近、気になる女優が二人いて、二人とも昭和以前の古風、例えば大正とか明治の時代の雰囲気がある。二人とも、今どき風な洋装だが、髪型も和装にして化粧と着物だったら、と考えながらドラマを見ている。
一人は、以前某情報番組のアシスタントで良く見ていたが、仕事に合わせている感じで無理があったし、存在感が強すぎてアシスタントには向いていなかった。その番組を降りて数年後、青山通り(こどもの城付近)を走っているのを見かけた。それが、思うと今演じている先生役に向かって走っている様に思える。経験を経て、力みもなくなって主演している感じが凄く良い。この業界にも見ている人がいるんだなあ、と関心した。
もう一人。きっともっと熱演する潜在的には凄い女優なんだと思う。「薄さが勝負」ではなく、誰か持ち味を存分に発揮させて欲しい、と願うばかり。