ヘル・メット

3月7日から東北周辺での撮影が延期と決定した直後に震災になったのを今まで忘れていた。以前アイスランドで撮影を終えて帰ってきた直後に撮影で行った地方が火山爆発で大洪水で撮影場所が消えた、というのも思い出した。
自分は運が良いのだ、と思うことしばしば。それでも、そういうのを忘れている。忘れているだけで、知らない方が良いことなんかもあるんだろう。
ひょっとしたら降りたタクシーが直後に事故とか、病気の鳥の糞を知らずによけていたとか、身体に入った病原体をクシャミではき出したとか、自分にはありそうな気がする。
特に大きな病気にもなっていないし、今こうして生きていること自体が運が良いんだ。遡るだけ遡ると、生まれてきたこと自体も運が強いと言える。だから、自殺なんて以ての外。出来るだけ長生きしてタイムマシーンも乗ってみたいし、完全な差別のない世界=無個性な世界というのも体験してみたい。って、考えると国の個性や人情のあるこの世界・時代が好きなんである。夏の夕暮れ、まだ明るい下町の汚い暖簾の下がった中華屋で餃子をビールでイッパイなんて世界一幸せな光景と思う。それをイッパイっやってきたんだなあ、ってよく思う。正直、辛いことも多々あった。でも、そういうことを自分に強いてきた輩にもいろいろあったんだと思うようになってきた。「人生バラ色」とは何時吐く言葉なんだろう?