モノクロジャケ

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モノクロ写真のレコードジャケットって最近見ない。80年代は何かモノクロブーム的な流行があった様に思う。図版は、上から、デレク・ジャーマン作品映画「カラヴァッジオ」のサントラ(Simon Fisher Turner)、シャンソンを歌っているジャンヌ・モローの1963年のアルバム、最後は「Dada For Now」というアートのレコード。コラージュでも有名なクルト・シュヴィッタースの歌う「詩」なども収録されている。1985年作。20代だったので背伸びもしながら世界中の音楽を聴きあさっていた頃ではあるが、美大生だけ知っているようなモノではなかった。
デザインされたモノも好きだったけど、写真だけのジャケットには凄く惹かれる。この「ぶれた手」の動きには何か直感が響いて中身への期待感が膨らんでいく。
80年代に入り、カラー再現(フィルムなど物理的に)の技術が完成してある種の飽和状態になっていた、とすればモノクロ回帰的な心理も順当な動きとも言える。今、モノクロが少ないのは、手法としての選択肢がカラーに対してのモノクロではないからで、大抵の場合「写真をモノクロしよう」、でも撮影時点でモノクロにしている人は少なく、撮ったカラーを後でモノクロにする。この方がポストプロの応用幅が広いからだ。では「モノクロで撮るべき主題とは何か?」それは物語であり、端的な造形だろう。デジカメ画像をいじって飽きてきたら、すぐにモノクロブームにはならないだろう。だけども、「主題を論じ合う」のがブームになれば、あり得る。