自分的初音盤装丁制作八十三年

独立して始めてレコードジャケットを作ったのは友人に頼まれた「ちわきまゆみ」7インチ・シングル&12インチ・マキシ・シングルのジャケットで、ちわき嬢は前からの知り合い(集英社の広告制作で彼女がモデル)で、仕事を頼んできたのはスタイリストの安部みちるサン。彼女も雑誌「流行通信」時代からの知り合いだった。「じゃあカメラマンどーする?」で伊島薫さんにお願いした。撮影は、当時の渋谷にあった伊島さんの事務所で。元「覗き部屋」の跡地で8角形の壁の基礎跡がクッキリ残っていた。伊島さんが鏡を割ってその隙間から「ちわき」のアングルを探ったり、見たことない照明で人物照らしたり。それまで経験した大先輩の王道的な進行でなく、自分たち世代の自由な進み方にひとりほくそ笑んだりもした。この時は、それまでの辛い修業時代のことなんか全く思い出さなかった。楽しい未来が待っている気分で毎日がウキウキしていた。セレクトや打合せが夜中でも一切構わなかった。が、ある時自分らしいモノクロジャケットを作っていた時のこと、「ちわきジャケ」から半年くらいか、急に思い出したのが師匠と作った「Art Pepper and George Cables」のジャケットだった。師匠(故杉本英介氏)から「ビクターからジャズのレコードのジャケット頼まれたんだけど、何か考えてスンちゃん」と言う大きな笑顔の裏側を知る不肖のアシスタントは引きつるばかり。この写真をどうやって撮ったかは年内に出る作品集(SGW)で見て貰うとして。杉本さんが静かな笑顔で「世界で発売されるからねぇ〜」って言ってたっけ。Discogチェックしたら載ってました。
http://www.discogs.com/Art-Pepper-George-Cables-Tete-A-Tete/release/2398616