Respectable Person


アシスタント時代のこと。師匠と行った南国の島のロケで、南国にありそうな小屋で食事をしていたら、そこに浅井慎平さんが入ってきたので、すかさずカメラで浅井さんと撮ったら、「やるね」と笑顔で言われてから憧れの人でした。ああいうリアクションが出来る大人になりたいという憧れ。その頃浅井さんが描いた絵本がこれ。「9月の珊瑚礁」という水彩画と物語が綴られている。今見るとこれは映画だと思う。写真家という職業は面白い。その人がどこでいつ撮ったか、が面白いし、または実際に撮らない人も面白い。今年イタリア・ビエンナーレで日本代表で参加したカメラマンやなぎみわサンも自分では撮影しない写真アーティスト。イメージを描いて何かに定着させる。動画のフィルムならば映画だが、プリントではなく透明水彩絵の具を手にした浅井さんの方法と笑顔の向こうに何か物凄い重要なテーマが見える。