Chinese Japanese

香港に初めて行ったのは、86年だったか。まだクーロン城があった。今でこそ伝説の魔城だが、突然出くわした感じで言えば、ただの大きなゴミの塊にしか見えなかった。/慌ただしい通りから中に入ると急に静かになった。下界に降り立った様な心持ち、つまり娑婆の空気とは何かが違うような「差異」を感じた、という記憶しかないのだが、(実際にはその逆、向こう側の人が我々の生活を見れば同じような「差異」もあるはず。)今では消え去ってしまった「懐かしい記憶の断片」でしかなくなった。_ホンコンサイド〜クーロンサイドで見た光景、人々からわき出る圧倒的な「威圧感」が塊になって肉体を通過していく。路上のゴミも何か日本とは全く違うエネルギーさえ感じる。つまりそこに立っているだけで疲れる。で、レコード店に入る。予想外に本土(中華人民共和国)関連のモノが多い。(最近上海に行った際、郊外で毛沢東の昔のポスターがあり、大きく値切って買ったが、観光客向けに意識して残っているのだろう)LPを5枚ほど購入した。
で、今の今までそのレコードはターンテーブルに乗ることはなかった。で、聴いてみた。中国らしい感触が充満して、面白かった。(同様に70年代後半にイタリアで買ったLP数枚も聴いてなかったので聴いたがこちらは面白くなかった)このレコードを香港で買うまでに(たしか)10年ほど店に置いてあり、買ってから20年以上が経ち、次にボクの知らない人が聴くのだろうか?中に「越天楽」といういわば雅楽の名曲を中国のオーケストラが演奏しているのだが、これは面白い。元々中国から来て日本が消化したものの別な消化があって面白かった。