B2 & X


坂本龍一アルバム「B-2ユニット」(B-2Unit, 1980年)と「戦場のメリークリスマス」(Merry Christmas Mr Lawrence, 1983年)の2枚は、僕にとって80年代を象徴する伝説の1ページ。それまで海外でしか出来なかった「ジャケットと音楽の融合」が始めて日本で完成した。前者はXTCのアンディー・パートリッジ、デニス・ボーベルとの共演、後者はデヴィッド・ボウイとの競演という、どの角度から見ても「日本のミュージシャンもこれでやっと何気なく自慢の出来る作品」が出来たと感じた。素晴らしいアートワークは、2枚とも井上嗣也さん。(NDCの先輩)
坂本さんがピアニストとしてよりミュージシャンとして確立しているのは、こういう前衛的でありながら完成度の高い音を作ったからだ。後にPublic Image Limited等の世界のロック音楽を聴いているレベルでの名演も僕には鮮やかに響いている。これが30年近く前の音だなんて、音楽は進歩していないのか?この頃がピークなのか?冗談だと思いたいけど。ミュージシャンだけでなく「聞き手」も多いにうるさかった時代と思う。
最近はメディアがスッカリ音楽をシーンを脱落させてしまった感じがする。何枚売れたのかとか、DVDに付属しているメイキングは予定通りだし、裏の裏まで見せちゃうし。で何もかもを「売り」の対象にしてしまった。大方のミュージシャンもミュージシャンで安定することばかり考えている様に見える。
そんな事が重要でないことは誰でも知っているのだけど、そんなノイズに繊細な「作り手」がスッカリ縮んでしまい、余程の図太いヤツでないと才能を発揮できない。テレビに出ることが如何にマイナスになるかを考えている人も意外に少ない。この2枚を久々に聴いていろいろ考えた。