Mifune is great

わりに近くに住んでいたこともあって、三船敏郎先生を買物中のお姿を何度かお見かけした。大の甘いもの好きと聞いていて、頻繁に来るという某駅前某高級スーパーでのこと。夏なのに手袋をはめていた。オールバックでセーターもしている。日焼けしないように、と完全防御。「孫悟空」の企画をしていたころかもしれない。目立たぬように妙に背を丸めているから挙動不審オヤジみたいで逆に目立つ。若い店員に何やら問合せしていた。「君、あのチョコを味見させて欲しい」。いろいろなスーパースターにあったが、この時の「味見直訴」に敵うものはない別格な佇まいだった。これは誹謗しているのでは決してなく、スーパースターには凡庸な部分があり、その技術・才能・存在感などとのギャップの振幅が絶妙なのであり、これは「選ばれし者」のみが放つ特殊光線のようなものである、という(前置きが長かったが)証明がこの広告のにも表れているではないか!広告主のロゴ以上に大きい「ウルトラQ」が有るのは、実はこの広告は「ウルトラQソノシート裏表紙」だから。力技の清々しさはこの広告の中に生きている。
かつてよく通った赤坂の中華料理屋の前に薬屋にこのポスター(B2タテ/モノクロ)が貼ってあり、いつか譲ってもらおうと思っていたが、いつのまにか店はなくなり手に入れられなかった。日常の中に生き儚くも消えていくこういうポスターが好きなんだな。