Frank Zappa Back to the Future

Frank Zappaに関しては70年代の来日ライブは体験したものの、心情的にのめり込まなかった。当時ラジオで録音していた「ライブ曲」が後々1978年のニューヨークでのアルバムと知り、録音されていた曲の部分だけを必死に聴いて現場の雰囲気を追体験しようとしていた。というのを20年以上繰り返した揚げ句、サッサとCDを買ってしまえない自分が嫌になって10年がたった。つまり30年もこのアルバムに関して言えば「冷凍保存」された様に時間が止まっていた。同時に他のアルバムへの追求は進めていったが、何せ60枚以上もアルバムを出した人なので、最初は聴いた感触だけを頼りにしていたが、そんなことでは「音楽」が聴けるわけがない、ととうとう理解し片っ端から集めることにした。
そうしたら見えてきた、聞えてきた「ザッパの音」が。最初は奇妙に思えた音楽的特性もアメリカ的な日常性をベースに考えていくと『マイケル・ムーア』的なスタンスやローカル性もその面白味に、やっと気がついた。作曲家編曲家としての個性もアニメ作家に非常に近い。ギタリストとしてのザッパ、声質の魅力も、得体のしれない怪物を思わせるし、人間としてホントに魅力的だ。総合してフランク・ザッパなのだけれど、「訳のわからぬ無茶苦茶にやりたいこと」が楽器を通じて放たれるのが音楽とすると非常に明解で、ハッキリ言えば「音楽には理由がない」。と、いうことは「理由があるから音楽がある」。
図版は1966年に発表されたデビューアルバム。2枚組みである。多少擦れて良い色合いになったアメリカの音楽の断片がある。フランク・ザッパの完全な追体験であれば、ここから1969年「Mothers Live」1978年の「Zappa in New York」を経由し1993年「The Yellow Shark」まで行ってもらいたいものである。嫌、行きたいものである。全部集めきれたらケッコウ1週間も有れば可能かも。