生きていることが勝っていること。

あくまで素人の推測ですが、長年見てきた感じで言うと、例えばミュージシャンがライブハウスで300人集めて入場料が5000円位で、物販と称する独自販売で3000円のCDや4000円のTシャツを売って、その日の売上から経費を引いて残った金額で一年暮らしている音楽家は少ないのではないか。というかほとんどいないのではないか。年に50回もあれば可能かもしれないが、年に1度はいわゆる「晴れの舞台」であり、逆にサービスでやや赤字があるように身受けられる。
普段は地方のライブに呼ばれ(このこと自体が実は凄いというのは最近知った。)50人の前で同じような演奏会で入る収入がメイン、という人を随分聴く。聴くと行っても本人からではなく、周辺が話している断片的な話からの推測でしかない。
これはアマチュアの世界の話ではなく、プロの世界の話だ。
コレを年に50回。楽曲演奏曲目も不明。とかで、領収書なしの露店的な営業で、ナンとかやっているミュージシャン、とかいう問題ではなく、音楽家の神髄みたいなもんであると最近思う。この活動を止めたら入金なくなるので、CDも作る時間がなくなる矛盾を抱えながら毎日の演奏でメシを食う。ジャイアンツを追い出された星一徹の如し。

「やりたいこと」と「やらなくちゃいけないこと」の狭間で生きているのは、音楽の世界だけではないだろうけど、音楽の世界に見るこの模様は特に壮絶と思う。

ボクの好きな80年代のアメリカのバンドPere Ubu。David Thomasの奇声が流行歌になったらオカシイだろうなあ、と思って皆聴いているんだろう、か。

このPere Ubu(ペル・ウブまたはペル・ウビュとか言う)ビデオ見る限る冴えない失業者の雰囲気とか言うかもしれないけど(失礼にも程がある)とんでもないカッコE(死語)バンドである。初期DNAのティム・ライトがベースがいたり。まあ、話はどうでも、アルバム「390 degrees of simulated」の「Street waves」あたり聴けばそのインテリ度と独創性は理解できるはず。やっていることだけで凄いと思うぜ。(いつもと違うボクでした)