コクトーとオリヴァー

Cocteau Twinを本当に久しぶりに聞いた。プロレスの会場だった後楽園ホールで4回ほど演奏を見たが、歌い手のエリザベス・フレイザーが、オープンリールのテープのデッキから出てくるベーシックトラックとエコーのかかったギターの音響をバックに、胸を叩きながら(多分効果のために)歌っていたのが鮮明に覚えている。何故って静かに囁くような歌を聴くのかと思っていたら、淑やかなのは、雰囲気だけで、中身はパンクだったからだ。実際パンクのレーベルから出てきたバンドである。
耽美的な中世の雰囲気で、音楽を完璧に表現しているジャケットはヴォーン・オリヴァーが制作。これが今見ても素晴らしい。モチーフは完全な抽象なんだけども複雑な心情を凄くリアルに表現している。バンドのテンションとシンクロしている様な感じもした。
オリヴァー氏は80年代のジャケット制作の中心だった「4 Gang」と呼ばれた1人だが、彼は中では最も異端で作家寄りだった。メジャー指向ではなく、より手作りで作品が際だっていた。当時のロンドンには彼みたいなスタンスの人は多くは無いけど確実にいた。ラッセル・ミルズもその1人だろう。