springsteen is come

1986年に出た5枚組みライブアルバム(LPですね)と言えば、ブルース・スプリングスティーン。買った時以来、5枚を一気に聴いた。何故5枚組みになったのかが今になってわかった、様な気がした。むさ苦しくて暑苦しくて息苦しいのかと思いこんでいたが、爽やかに疾走し闊歩し若く独創的だった。ブルースは1949年生まれだから、現在は還暦を超えているが、このアルバムの録音されたのは、75年から85年だから、20代から30代後半にかけて、の心技体充実期。彼の歌を聴いて「シンプル」という言葉を思い出した。
「シンプル」って言葉が出てきた頃、多くの人は「シンプル」を理解できていなかった。(誰に聴いてもチンプンカンプンだったんだよねえ。ホント。)70年代中盤か。いわゆる「単純」という意味を指すのではなく、英語的なライフスタイルの中の「シンプル」はもっと深い部分の意味を指していたと思う。僕が理解したのは、こういう感じ。
多くの経験を積んだ者がある種到達したひとつの結論が、「シンプル」であって、寡黙か多弁かどうかではなく、力のある「一言」、偽りのない「一向」を指す、のだと思った。上手く言えていた当時のTVCFで高倉健の言う「シンプルライフ」の「シンプル」であった。ブルースの「シンプル」にも同様な真実を感じた。この5枚組みを一気に聴かせる「何か」には、この「シンプル」さがあった。