松本康男2

松本さんがボクの所へポートフォリオ(主に営業用に作品をファイルしたもの)を持ってきてくれたのは、最初に写真見てからまもなくのことだった。最初の撮影は、佐野元春さんの発行する雑誌THISの2号目だった。それからというものことあることに多くの仕事を共有した。海外ロケも多かった。THISの3号目はパリでの取材。ポラ撮っておおまかなレイアウトまで部屋でやった。二人でサハリン、ミュージシャンとの三つ巴で中国で大喧嘩、などなど。10年ほど前から一緒に映像も作るようになった。ミュージシャンのプロモーションビデオもムービーカメラマンでなく松本さんにアシスタントを付けてやってもらった。映像では彼には自分にない客観的な部分や照明の決定などを主に期待していた。松本さんは、後処理や加工には興味なく、純粋に撮るだけの人だ。撮るだけに集中しているから撮ったモノがいつも彼らしい。編集も好きじゃないみたいで、プロモビデオ編集にも顔を出さない。
先週、久しぶりにビデオを撮影した。スティール用のカメラ(ニコン)にムービー機能が付いていて、スティールを撮っているようにムービーを撮っていた。
よくよく考えてみると写真撮って生活しているって面白い。会社や人と交渉すると言うより写真そのものを野菜みたいに作って売っているようなところもあるし、ファッションやトレンドを重点的に語るような時もある。
銀塩と言われた感光材を使っていたころよりもっと厚みが薄くなっていく写真。デジタルだと像の厚みはゼロだ。何を持って像とするか?戦争時代に若い兵士が母親のヌード写真に陰毛を持って戦地に向かう、って話を聞いたことがあるが、コレこそが写真の神髄だな。へんなの。音楽もヘンだが写真もヘンだ。