Paris in Texas

1985年の映画「パリ、テキサス」。ドイツのヴィム・ベンダース監督作品。ドイツとフランス合作。場面はアメリカの地方都市。男女親子兄妹の愛情の曳く糸と不条理についてが平行に進む時間について、とでも言うか、説明できない事柄を描いている。主役の男(ハリー・ディーン・スタントン)は最初何もしゃべらない。無言・沈黙が見ている側にこれからの物語を想像させる。アメリカ人には苛々する?退屈な展開と思う。ベンダーズをひも解くと日本映画の影響もあろうかと想像出来る。ヨーロッパのクリエーターがアメリカ(舞台が英語)で作ったというのもポイント高い。だから音楽の役割も大きい。大きいというよりは音楽も主役の一人と言える。全編に統一されたライ・クーダーの音は「Dark is the night」というブラインド・ウィリー・ジョンソンの1927年のスライドギターの名曲を軸にしている。映像はカラーだが、音が入ると色付くのがハッキリわかる。映像にしか出来ない世界。(当時の)新しい映像に古い曲のエッセンスが入ると美術的な化学反応が起こる、って感じた。ジャケットはオリジナルのLPの表裏だが、手抜きの典型。作り直したほうが良いね。