Jethro Tull


海外ミュージシャンのライブが一般的になったのは70年代に入ってすぐのこと。高校生だった自分は東京の地の利で、ほとんどの人気バンドのライブを観れた。武道館から小さいホールまで行った。中学生の頃に行ったディスコでのライブから会場で見かける「見た顔」は多かった。つまり同じような人たちの集まりだった、ということか。話は戻って外タレのライブで今もって「来日バンド史上、最高のライブ・パフォーマンスだった」と言わしめるバンドがジェスロ・タルである。多くのミュージシャンが実はこのライブに行っていて、よくライブの後の飲み会も深まったあたりで出る話である。何がそんなに良かったのか?イアン・アンダーソン率いるこのバンド。とてもイギリスらしいバンドである。音楽・ルックス・雰囲気・喋りなど。重ったるいロングコートに編み込みのブーツのイアン・アンダーソンは歌う時は思いっきり激しく、バロック調の繊細な音色のフルートを吹くときはナンと片足をあげたまま吹く。曲は洒落た言い回しと皮肉と捻くれという完ぺきさ。そのバンドの一番脂の乗った時期の来日。状態も良かったに違いない。思えば、66年頃のドアーズ、ウッドストック直後のThe Whoも無敵だったろう。通好みのバンドが日本の後、大ヒットを飛ばす。そんなことも評価に箔がついた、と影響しているかもしれない。