Joni And Paco, and Audience

ジョニ・ミッチェルボブ・ディランと同様(安っぽい言い方だが)生きる伝説。60年代から活躍しギターを持った女性シンガーと言えばジョニのこと。北欧的な雰囲気があるのはカナダ出身だからか。90年代に入ってもにコンスタントに作品をリリース。同時に絵画も精力的に制作していた。ここ10年で燃え尽き、その灰の中から再生してきそうな雰囲気がある。/ここに「シャドウーズ&ライツ」という映像作品がある。1980年の映像作品。ギターはパット・メセニー、ベースがジャコ・パストリアス。ジョニの歌とギターも良いのだが、ジャコに目を奪われる。今はなき彼もまた伝説のミュージシャンとして余りにも有名だ。破綻したその後の人生が僕らに影響しているのだと思う。ジョニの様にサーバイブしている全うな人生と爆走した半生が多重なニュアンスを出している。/死んでしまったジャコが生きていたらその後どういう音楽を作ってきたか?スタンリー・クラークみたいにはなっていないだろうし、パーシー・ジョーンズでもないだろう。ましてや、ブーツイー・コリンズでは絶対にない。俳優か何かで「水谷豊」的な存在感は想像できる。話はジョニに戻して、彼女の映像といえば、ステージへの乱入者に対する彼女らしい対応が見えるワイト島の70年ライブも必見。
僕がロックのライブに行くようになったのは中学生だった1969年頃からで、新宿の空き地での成毛茂の和製ツエッペリン(ドラマーのツノダヒロがアフロ時期)やモップスなどを公開放送ライブ等で見ていた。当時はまだワンマンでコンサート・ツアーというのはなかった。今で言うタイバン式で長くて30分位の演奏が交代でいろいろなバンドを見ていく、というのが殆どだった。/永ちゃんのキャロルも出る前だ。1970年に入ると売れてきたアメリカ・イギリスのバンドが勢い良く来日が続いた。しかし、最初は大人しく見ていた客はファンではなく音楽に相当手厳しかったリスナーだった。2度目の来日初日で余りに演奏の気合いが足らず客が暴れ2日目が中止になったというバンド(Deepなんとかだったか?なんとかPurpleだったか?)もあるし、最前列の客とシンガーの殴り合いの喧嘩も結構見た。今ではミュージシャンは、客をお金を出す神様と言っているが、確かにお金を払ってわざわざ来てくれる人に悪態をつくこともないだろうに、もし今やってもダサい演出にしか見えない。当時は、なけなしの金をはたいて会場に入り、海外から来る(和製ではなく)本物から、肝心の何かをしっかりと感じたい、とすればお互いの真剣さがライブを作ってきた、と言えるのではないか。60年代後期から70年代前半の作品が多く音楽の財産として残っているのは、そこだ。ドアーズのライブでの客とのやり取りを聞いていると、本当に羨ましい光景と感じる。