Kurosawa world


日本で初アカデミー受賞と聞いて不思議な感じがしたのは僕だけではなかった筈。以前、黒澤明監督が同じアカデミー賞外国映画賞を受賞した、と記憶。で、調べてみたら、その受賞作品はロシア(当時はソ連)作品とされていた。あの「デルス・ウザーラ」が中々見れないのは残念。/この正月、黒澤作品を見まくった。週末などは1日2〜3本見た。脚本だけの作品の「土俵祭り」なんかも見た。昔の人情ばなしを映画にするのに仲間と飲み屋で脚本を詰めていく、なんて話を聞くと、楽しく作っていたと羨ましくも思う。山本周五郎作品なんかは本でもう一度読みたいとは思わないけど、映画だと1年に一度は見たい。俳優の年齢や演技、照明やカメラワーク、なんかは作り手として非常に面白く見れる。例えば1949年作品「野良犬」でバスの中で拳銃を盗まれた新人警部が犯人を走って追いかけてころぶシーン。若き三船敏郎の動きがとても魅力的。大股でころぶのだが、説明的でまるで歌舞伎の舞台を見ているかの様。モノクロ映画はカラーと違い。説明する場面が多々ある。それが面白い。この「ころぶ」シーンは如何に慌てているか、をその心情の大きさを表現している。当時の時代の作品の基本になっているところだが、黒澤作品の表現は特に面白い。/図版は黒澤作品を網羅した作品のガイドブックだが、1980年の「影武者」を記念して編集されたので、それ以降の作品がない。1997年に出た「黒澤明クロニクル」(31500円)は完全なデータとクオリティーの高い完成度。撮影スナップが楽しい。だが、重くて立派すぎて滅多に見れない。