Real Bootleg


最近では「プライベート盤」とか言うらしいが、かつては「海賊盤」と言われた不正規にリリースされたレコード。製作者からすれば当然のこと迷惑な産物であろうが(ここはかなり複雑な心境であるが、わかるひとにしかわからない)ファンには、それとは対照的にレアな喜びに満ちている。しかしながらそのファンの心持ちを逆手に取った酷いものも多かった。音質の悪さも趣有りなのだが、悪すぎて聞えない、ライブとは名ばかりの代物や、まるで詐欺のような出鱈目なモノ(例えば、ジャケと中身が違う、とか)/しかしながら、ミュージシャンの思いとは別に「海賊盤」には、ファンの偏った期待が込められている。70年代にはライブ盤も出ていないバンドで情報も少ない日本のリスナーには、このレコードから聞えてくる会場の熱気や生の音に没頭するしかなかった。聞くも涙の時代であった。/このジャケは、有名な古典芸術からのコピー。これは、海賊盤にしては程度の高い「芸」で、当時は殆どがグラフィティの範囲であった。これに関しては別に考察が必要と考えている。が、こういう「凝ったジャケは危ない」というムキがあった。買うこと自体が賭けである(中身を見せない聴かせない&通常盤の倍以上の価格の)海賊盤に慣れたこの頃には、マニアの間では「ジャケから中身を読む」が必然となり、これが後に言う「ジャケ買い」となった。/クレジットを見ると、personel:Robert Fripp/Mel Collins/Boz/Ian Wallace/Keith Tippett/Peter Sinfield/Greg Lakeとなっている。録音は1971年5月29日Sheffield City Hallとなっている。御丁寧にオフィシャルであるレーベルのロゴマークまで入っているし、レーベルも「Earthbound」みたいな品番が入っている。/かつては犯罪まがいだった海賊盤も時代を経て、今やファンに録音された音源を元に正規盤が出てきている時代で、全く話に出てこなくなったが、ボクの音楽のページの中の1ページになっている。「お宝」みたいで好きじゃないが、このレコードも今やかなりの貴重品らしい。売る気はないし、売る人の心情も理解できない。