BRUCE BLUE

1989年に公開された「Let's Get Lost」は、ジャズ・トランペッター、チェット・ベイカーを追ったドキュメント・タッチのブルース・ウェーバー制作の映画。(モノクロ/119min/スタンダードサイズ/1988アメリカ映画)当時人から借りたビデオをベータにダビングした物(1990)を観ているのだが、何度コピーしてもイメージがかわらない。当時、ブルース・ウェーバーの撮り方が少し気取った姿勢に感じて嫌みだったのだが、今観ると気持的にはとても純粋に、素直に追いかけていた様に見えた。印象は彼の撮るファッション・ポートレイトやドキュメントと全く同じ手法で、進歩が無いとも言えるが、最初から完成しているとも言える。
写真の右下は「Chet Baker Sings」1956年の録音。「歯を折られる前」の名作として知られる。80年代「カフェ・バー」で度々聴いた。右下は映画のOSR(Original Soundtrack Record)でカバーは当然ウェーバー撮影。印画紙が破られているところがポイント。「クサい」手だが、今観ると先に言ったように、衒いもなくやっているところが偉い。DVDモニターから見えるのは、その映画の中に出てくる主演映画の一コマ。 この時チェット57才、ウェーバー42才。
この映画を撮影している頃(1986-7)に僕はチェットをパリで見ている(1986.9/New Morning)。目の前(隣の席)でビールを飲む姿、歯の影響で音が漏れるような独特な音のトランペットの音が今でも焼き付いている。