Mick meets Maxfield


Dalis Carは、あのJapanのMick Karn(Bass)が、Peter Murphy(Vocal)Paul Vincent Lawford(Percussion)と組んだバンドで、この「The Waking Hour」というアルバムは1984年に発表された。
LPダブルジャケのカバー(実は通常裏表紙になっている側をフロントにしている。絵の中の人物が左側にいるからである。)にはマックスフイールド・パリッシュの「夜明け」という絵を使用している。
1922年に描かれたこの絵は、1975年だったかに展覧会で見ていて大好きな絵だった。あのミック・カーンがこの絵を使った時、彼がかなりのアート好きだったことも思いだしたし、彼の展覧会に行って「入れ歯」を使ったかなり風変わりな作品も思いだした。
ミック・カーンと言えばジャパンのライブで武道館に行った時のことが今でも凄く鮮明で、バンドの中で一人独特な存在感を放っていた。ジャパン後期のベースの音が強調された曲は、某バンドのベーシストに聞いた話では、一番最後にベースの録音をしていたという。そのこと自体も彼の作品と同じような独特さを感じたものだ。
マックスフィールド・パリッシュは、1870年生まれのアメリカの絵描きであるが、コマーシャルアートをやっていた人として有名である。95才まで活躍した超驚異的な人だった。
同じように「良き時代のアメリカ」を象徴していたノーマン・ロックウェルが日常的表情が印象的だったのに比べ、パリッシュはシュールな部分があり、パリッシュ・ブルーと言われる深遠な青を大胆に使うことでも知られている。
音楽と絵画の出会いが、音楽を聴く時に更にイメージが広がっていく。情報が少なければ少ないほどイメージを膨らませる努力に集中できた。音に色が差し込まれて鮮明になる瞬間がある。こういう時が一番楽しいんだなあ。