名刺と肩書き。

グラフィックデザインという分野は技術の区分けで、いろいろな分野にいる。学生時代に知っている範囲は大学卒表して数年で経験した。広告(つまり大企業や電通などの大手代理店)に始まり、出版社・ファッション業界に放送局。番組のタイトルなんかも作ってた。それからある時期は報道の仕事をしていてプレスカードも持っていて取材・撮影に同行や国会にも行った。アートディレクターでは珍しいというか多分いないだろうなあ。いるか。
今までの自分の名刺が沢山あって、最初の名刺が高校生の時に作った「イラストレーター」であった。持ってみたかった名刺なので知り合いの名刺屋さんに作って貰った。同級生に配ってた。今見ると活版印刷で文字が少し凹んでいて歴史的印刷物?なわけはなく、当時は安っぽくてイヤだったなあ。オフセット印刷みたいなテクノな感じが欲しかったのに安い活版だったからなあ。今は全く逆で活版の方が数十倍はするか?その肩書きに戻る様に、毎日イラストというか絵を描いている。ダウンロードで時間がかかる間に、料理の煮込みの合間に、ほっと一休みの合間に、描く。
イラストレーターという時間の使い方が好きなんだ。言ってみれば毎日日々観察の日々。描くのは一瞬という描き方。水彩は自分の昔っからある「何か」なんである。筆に絵の具を浸す瞬間は感覚だけになる。感覚と言ったって大したことではなく、偉いわけでも何でもないからなあ。
浸した後に、何故か一回筆を白い布に半分程度吸い取らせて筆に着いている絵の具の出具合の調整をし、紙に触る。触る瞬間から「何か」が開始される。何処にどうやっていくのかわからないまま筆が進む。独楽と描いてコマと呼ぶのは、玩具のコマだけど、ボクの場合も筆から水に浸して紙に行くまでも独楽という感じがする。